この指使いじゃないと、絶対だめなの??
「この指使いじゃないと、絶対だめなの??」
わぁーまたきちゃった、この質問!
私がピアノ講師を始めてから、何度なく受けたこの質問は、実はとても奥の深いテーマです。
「何だか弾きにくいな-」と思っても、楽譜に書いてある通り、がんばって弾こうとする生徒さんの場合、先生はラクなのですが、自分で、もっと良さそうな別の指使いを見つけてしまう生徒さんに対しては、説明するのに骨の折れることもあります。
そもそも、書いてある指使いが、「絶対」というわけではないこと、だけど書いてある指使いがおそらくその曲に、「一番適している」ということ、また、「でもこっちの方が簡単」と感じている生徒さんに、「この方がスムーズにいくでしょ?」と言っても、なかなか「うん」とは思えないこと、など複雑な問題をはらんでいます。
また、楽譜を編集した人によって、指使いが違うこともよくありますので、私の考えと合わせて、時には「それでもいいよ」、時には「それでは上手く弾けないよ」など、アドバイスもその時々で違ったりします。
「指使い」とひとくちに言っても、ただの練習だけではすまされないのです。
私も生徒さんにその質問を受けて、常に考えるチャンスをあたえられています。
ピアノを弾くのは「楽しい」。
でも同時に頭も使わなければならないのですね。
「この指使いじゃないと、絶対だめなの?」
そんな疑問を持つことは、少なくとも自分の頭で考え、よりよい演奏を目指している証拠。
講師にとっては、えッぇぇーと一瞬、戸惑いをおぼえる質問ではありますが、音色を比べてみたり、自分の運動能力をためしたり、音楽の流れを感じ取ったりできる、生徒さんにとってよい経験になりますね。
生徒さんからのこの質問、私は大事にしています。
*指使いのむずかしい、シューマンの代表作!「楽しき農夫」